五感と一想

食べる、読む、寝る、考える。

ゼロの焦点

 昭和30年代の東京に翻案した『ロング・グッドバイ』を観た時に、「戦争で人生が狂ってしまった事が動機になる、戦災で生きてきた証が消えてしまった事がトリックになる、そういうミステリを書く人はもういないのだろうな」というようなことを考えていた。

 私が小学生のころに読んだ国産ミステリには松本清張をはじめ、そういう作品が多くあった。

 空襲にあったようだ、敗戦からの復興に匹敵する苦難の道のりだと表現された日本大震災を背景とした、フィクションはこれから先、書かれるだろうか。

 1995年の阪神淡路大震災を背景にした小説は二つ読んだ事がある。一つは貴志祐介の『isola』。これはホラー。あと一つは何だったかな。BL小説だったような…。

 いま、トリックや殺人の動機に震災を使うのはもしかして不謹慎だったりするのだろうか?

 

『十三番目の人格 ISOLA 』貴志祐介(角川ホラー文庫)

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BSで『ゼロの焦点』(広末涼子 主演)を観たので。
エンディングの「愛だけを残せ」(中島みゆき)は蛇足だったな。